プロダクションノート 地図が好き
2016年 12月 22日
世界遺産候補『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』
ここでは、
その価値は、教会という建物というより、
教会が建てられるに至るものがたりに、価値がおかれています。
キリスト教の伝来と繁栄。そして、禁教と弾圧。
250年に及ぶ禁教期、何世代にもわたって密かに信仰が守られ
ついに信仰が認められ教会が建てられていくという、
世界的にも他に類を見ない稀有な歴史__。
今回の本は、ガイドブックでもあるので、
その役割をを果たせるように作りました。
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「世界的に類をみないことが、なぜ日本でおきたのか?」
現代を生きる私たちは、カトリック信徒の方であれ、そうでない人であれ、
多かれ少なかれこのような疑問を持つのではないかと思います。
そこに、「これが答えです」という単純なものはないと、私は考えています。
ただ、その土地の歴史や、その土地を訪れ目にする風景、そして体に感じる風などが、
多くのヒントを与えてくれます。どこをヒントだと思うかは、人それぞれですが、
そうやって多くの人々が、さまざまな目線で見て、当時の人々に思いを馳せ考えていく__。
そんな現象が生まれたらいいなと思ってつくりました。
イメージを固定化しない、単純化しない、どんどんブレていい、
「自分の目で確かめたい」と、思ってもらいたくて。
そういう意味で、力を入れたのは、「地図」と「アクセスルート」でした。
ルートを探せば、すぐに〝最短ルート〟がトップに上がってくる時代ですが、
そもそも、不便な場所が多く、最短も何もあったもんじゃないといのもあり、
私は、ルート全体が俯瞰で見えるよう工夫しました。
最短であるかどうかよりも、
どんなルートがあって、どのルートを辿ろうか、そんなふうに「道」を選ぶことも重要だと思ったのです。
ルートを変えれば、違う風景が目に入ってきます。
それは、違うヒントに出会える可能性でもあります。
「地図」は、イラスト担当のなっちゃんと、デザインの古賀さんががんばってくれました。
そして、
年表の中ある「伊能忠敬の『大日本沿海輿地地図全図』完成」の文字。
元来、わたしは地図好きなのですが、、、
これは、フックです。誰かが「ん?」と引っかかってくれるように。
私の感じたヒントが、本のあちこちにフックとして入り込んでいます。
(書ききれなかったことが多すぎて)
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by adusaadusaadusa
| 2016-12-22 12:27